2019年12月12日木曜日

たくさんのふしぎ1月号『南米アマゾン 土を食う動物たち』

たくさんのふしぎ2020年1月号は『南米アマゾン 土を食う動物たち』(山口大志 文・写真)です。


山口大志さんは高校卒業後、石垣島や西表島に移住してイノシシなどの野生動物の狩りを学びました。その経験から、野生動物が通る獣道を見つけるのは得意なのだそうです。

熱帯雨林の獣道は地面の上だけでなく、人間の頭の上、つる植物や高い木々の間にもあるそうです。例えばサルたちは、決まって同じルートでコルパと呼ばれる塩場にやってきては、土を食べて帰っていきます。



小さな頃から動物が好きで、常に観察を続ける山口さんの写真は驚くほど生々しく、迫真的です。美しく、迫力ある動物の姿を多くの人に見ていただけたらと思います。

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2019年11月14日木曜日

たくさんのふしぎ12月号『地球の中に、潜っていくと…』

みなさんは、足もと、すなわち地球の中になにがあるか、考えてみたことがありますか?
多くの人は、マグマがふつふつと煮えていたり、暗くて地獄のような光景を思い浮かべるのではないでしょうか。

そんな地球の中を、もしも旅できたら…というお話が、12月号『地球の中に、潜っていくと…』です。






地球の中は超高温・超高圧力の世界です。
そこを旅するには、たかい圧力に耐えられる、大変に頑丈な乗り物が必要です。
この作品に登場する科学者のおじいちゃんは、世界でいちばんかたい物質「ダイヤモンド」を使って、世界一じょうぶな乗り物を作り出しました。


ダイヤモンド製の「ダイヤモンド号」


これに乗りこみ、地球の内部へとずんずんと潜っていきます。
表層部の地殻を突き抜け、マントルへ達すると、こんな世界があらわれました…!

地下150km付近のようす


ここは地下150㎞付近。東京~軽井沢ぐらいの距離を潜ったところです。
そんなところに、緑色に輝くきらびやかな世界があるというのです。

緑色の正体は、「かんらん石」、別名「ペリドット」とよばれる宝石です。
アクセサリーなどで見たことがある人もいるでしょう。

かんらん石(ペリドット)


さらに上の絵をよ~く見ると、赤い石がまざっていますね。これは「ガーネット」です。
また、このあたりには「ダイヤモンド」も多くあるとか……。宝石だらけですね。

地球の半径は、約6400kmもあります。さらにさらに深くへ進むと、どんな光景が待っているのか。そして、地球の中心には何があるのか。ぜひ本書を読んでみてください!


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2019年10月10日木曜日

たくさんのふしぎ11月号『馬と生きる』


たくさんのふしぎ11月号は『馬と生きる』(澄川嘉彦 文/五十嵐大介 絵)です。


 
「遠野物語の後ろ姿を見ているようだ」。それが取材をしていて特に心に残ったことでした。遠野物語には馬が出てくるお話がたくさん採話されています。本作の主人公、70才を越える見方芳勝さんは子どもの頃から馬に親しみ、「地駄引き」とよばれる昔ながらの方法で、馬といっしょに山での仕事を続けてきました。取材を始めた時に、こうした馬とのくらしをしているのは、岩手県遠野市では見方さんだけでした。
 

 
 見方さんの馬との接し方は独特です。仕事をしているときは、馬をどなり、時にはなぐることもあります。一方、現場を離れると、馬と一つ屋根の下でくらし、好物の植物をたっぷり食べさせてやったり、川で体を優しく洗ってやったりします。


 
50年間、馬との仕事を続けてきて、飼った馬は50頭。どの馬にも名前をつけたことがないそうです。こうした馬との接し方は、一般的なペットや家畜と人との関係とは明らかに違うものです。見方さんのような馬とのくらしは、遠野では数百年以上受け継がれ、数十年ほど前まで普通にあったものなのだろうと思います。見方さんが持っている馬に対する感情を一言で表現することはできません。しかし、見方さんと馬とのくらしのひとつひとつを丁寧に描くことで、現代の子どもたちにとって新鮮な驚きがあるはずと信じ、本作を企画しました。
 

 
 文を担当している澄川嘉彦さんは岩手県花巻市在住です。もともとNHKに勤務し、今はドキュメンタリーなどの映像作家として活動されています。NHKの番組で取材をしたのが、見方さんとの出会いでした。その後数年間にわたり取材を続け、本作にまとめてくださいました。
 絵を担当しているのは、漫画家の五十嵐大介さんです。五十嵐さんは、岩手県の農村に住み、自給自足の生活をされていたことがあります。その様子は『リトルフォレスト』(講談社)にまとめられています。岩手での生活をされたことがある方だからこそ、本作のための取材を重ねるなかで、見方さんの感じ方に共感し、そのくらしぶりや遠野の自然、そして力強い馬の姿を生き生きと描き出して頂くことができました。
 本作のデザインをされている名久井直子さんも岩手県の出身です。(担当者は西日本出身ですが、これまで岩手県を舞台にした絵本を4冊担当しておりまして、岩手が好きです。)岩手県に関係する3人が力を合わせて、『馬と生きる』を作りあげてくださいました。

左から、澄川嘉彦さん、見方芳勝さん、五十嵐大介さん

 
K

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2019年9月10日火曜日

たくさんのふしぎ10月号『9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく』

日本の動物園でもおなじみのワオキツネザル。彼らの故郷はインド洋にうかぶ島国、マダガスカルです。日本で見られる「キツネザル」の種類は限られていますが、マダガスカルにはなんと100種を超すキツネザルが住んでいます。
 
  

本作で大きくご紹介するのは、「シファカ」というキツネザルの仲間です。マダガスカルの熱帯雨林、高地の森、乾燥した森や、石灰岩の針山など9つの森を、シファカを中心にサルたちを探しながらめぐります。
 


文を担当した島泰三さんは30年以上、マダガスカルのサルを調べてこられました。シファカ9種は、マダガスカルに各地に離れて生息しています。この9つのシファカを見るには、交通事情の悪いマダガスカルの奥地に入らなければなりません。しかも行けば必ず見られるものでもありません。そうして観察を続けてきたシファカと彼らのすむ森、そこにいる他のサルたちを、子どもたちにぜひとも紹介したいとの思いから、本作を執筆されました。ですから、本文はサルと森の紹介に留まらず、島さんがそれぞれの森を案内するような文章になっています。


 
絵を担当したサイエンスイラストレーターの菊谷詩子さんは、本作のためにマダガスカルを訪れ、シファカたちを取材されました。そして、森の植生や空気、サルの表情、毛並み、仕草、どれをとっても研究者の島さんが驚かれるほどの精度の絵を仕上げてくださっています。たとえばこのベローシファカの絵。この毛並みの美しい表現と躍動感は現地での取材のたまものです。
 

 
キツネザルたちの絵だけではなくマダガスカルの自然の美しさを表現するため、
絵の飾り枠にまでこだわりがつまっています。文様のように描かれているのは、すべてその森の動植物です。写真中央上に描かれているのはマダガスカル固有の肉食動物フォッサです。ネコ科の動物のように見えますが、フォッサはマングースの仲間です。


 
担当者が好きなキツネザルはジェントルキツネザルです。ハイイロジェントルキツネザルは上野動物園でも見ることができます。このサルは、猛毒の青酸が含まれている竹の子を好んで食べます。しかし、彼らがどうして毒を食べても大丈夫なのか、その謎はまだ解明されていないそうです。
 


シファカ9種とキツネザルについて、フルイラストレーションでまとめられた絵本は、世界でこの作品だけです。動物園で出会うキツネザルたちの故郷がどんなところか、思いを馳せながら読んで頂ければ幸いです。

(K)
 
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2019年7月31日水曜日

たくさんのふしぎ9月号『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』

 9月号は『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』(木原育子 文/沢野ひとし 絵)。


 作者の木原育子さんは、現役の新聞記者です。2014年に中日新聞(東京新聞)で掲載された、「さまよう日章旗」という連載記事の取材班の一人でした。

https://www.chunichi.co.jp/hold/feature/wandering_flag/list/CK2014081502000066.html

 今回の絵本は、その記事が基となっています。太平洋戦争で戦った日本兵の日章旗がアメリカで発見され、その持ち主を、木原さんたち記者が探し歩く様子を描きます。

 主人公の一郎くんは、出征前は静岡市の郵便局で働いていました。


 一郎くんを知る人たちに取材し、誰からも好かれる好青年だったことがわかってきます。木原さんはその一郎くんの写真を探しますが、静岡が空襲で焼け野原となったためか、写真はどこにも残されていません。
 あきらめかけた木原さんでしたが……



 息子を待つ母、弟のために日章旗に寄せ書きを集める姉、そしてそれらの事実を見つけだしていく記者。
 さまざま人たちの思いがつまった絵本です。

一郎くんたちが遊んでいた神社


 新聞記事や絵本にも書ききれなかった、一郎くんと残された人々についてのことを、福音館書店公式Webマガジン「ふくふく本棚」で紹介しています。よろしければご一読ください。(I)


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2019年7月12日金曜日

たくさんのふしぎ8月号『クジラの家族』

たくさんのふしぎ2019年8月号は『クジラの家族』(水口博也 文・写真)です。



クジラたちは、海の中で歌うように声を出し、家族で会話をしています。
海の中では音は地上よりも速く伝わり、また、声が届く距離も、大型のクジラでは数百キロに及ぶと言われています。

クジラの家族の会話は、その内容も高度なもの。親から子へ、狩りの方法などを代々、伝えてきました。

私たち人類は、世界的な通信網を発達させましたが、それもたかだかここ100年ほどのこと。海の中では、人類の有史以前から、クジラたちが通信社会を営んできたのです。


そんな話を写真家の水口さんからお聞きして、クジラたちの賢さを、「家族のきずな」をキーワードにして描いてもらったのが、この写真絵本。


最後に登場する真っ白いマッコウクジラの子どもが、水口さんをベビーシッターに選ぶ場面は、ことに愉快です。
マッコウクジラの赤ちゃんです
シロナガスクジラの潮ふき!

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2019年6月13日木曜日

たくさんのふしぎ7月号『ブラックホールって なんだろう?』



だれでもいちどは、ブラックホールに心惹かれたことがあるのではないでしょうか。
7月号は、『ブラックホールって なんだろう?』。不思議で神秘的なブラックホールを、だれにでもわかりやすく紹介します。




まず、ブラックホールってどのくらいの大きさがあると思いますか? 想像したこともないのではないでしょうか。
じつは、東京と鎌倉をむすんだくらい(50km程度)だそうです。宇宙の広大なスケールを考えると、小さな天体であることがわかります。



ブラックホールは重力によってものをすいこみます。ブラックホールの重力は超強力。宇宙一速い「光」さえも、この重力からはにげられません…!




ブラックホールの誕生についてや、ブラックホールの意外な一面にもせまります。

文を書いたのは、30年以上ブラックホールの研究をしている嶺重慎さんです。専門用語はつかわず、身近なものにたとえながら、やさしく語っていただきました。また、イラストレーターの倉部今日子さんによる、美しくあたたかな線画も注目いただきたいです。

「こわいもの」「ぶきみなもの」というイメージが先行しがちなブラックホールですが、この作品から、宇宙の大切な一員であることを感じ取っていただけたらうれしいです。







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2019年5月7日火曜日

たくさんのふしぎ6月号『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』



たくさんのふしぎ2019年6月号は
『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』です。

ガラスでできた殻をもつ「珪藻」という藻がいる。さらにその極小のガラスの殻をつかって、驚異の「珪藻アート」作品をつくる人がいるときき、お目にかかったのが、著者となる奥修さんでした。
珪藻の一種。生きている珪藻は茶褐色
世界に数万種はいるとされる珪藻。海や川はもちろん、水たまりなど、水さえあればそこには珪藻の姿があるそうです。そんなとても身近な藻ではありますが、あまりにも小さいため、ふだん私たちが意識することはありません。

奥さんは、珪藻を川や海などから採集し、あらゆる方法をつかって殻を完全に美しい状態にし、プレパラート上にならべて作品を制作している……とのことでしたが、
珪藻アートはもちろん、珪藻自体もはじめて出会うテーマでした。子どもたちにどう伝えたらいいのか、ちょっと想像がつきませんでした。でも、作品を撮影した画像の美しさに、とにかくお目にかかってみたいと奥さんをたずねすることにしました。

本誌より。珪藻採集風景。このときは海に採集へ

奥さんのお宅で、「この中央に見えるのが私の作品です」と、作品が封入されたプレパラートを手渡されました。じっと見つめますが、直径数ミリほどの白っぽいくすみが見えるのみ。作品がどこにあるのかさえ判然としません。

さっそく、プレパラートを顕微鏡にセットしてくださり、のぞいてみて、息をのみました。そこには宝石のようにキラキラと輝く作品の姿が。
円形に緻密にデザインされた奥修さんの珪藻アート作品
微小なアート作品の例に、米粒に文字や絵を描く作品があげられますが、奥さんの作品の小ささはその比ではありませんでした。
本誌より。ヨーロッパで作られてきたクリスマスツリーデザイン

珪藻ひとつひとつの大きさは、大きなもので1ミリの10分の1前後、もっと小さなものもたくさんあるそうです。奥さんの生活は、この微小なガラスを自在に操るために衣食住、そのすべてがストイックなまでに管理されています。
珪藻の殻。ほとんどが0.1ミリにも満たない極小のガラス

まつげの先で珪藻の殻をあつかう……


空気中を漂う目に見えないほこりやちり、そして珪藻をならべる自身の手がまったくふるえないようにするため……無数の「してはいけないこと」を生活から排除して、作品はようやく完成します。

子どもたちに、この究極の微小の美の世界を紹介したいと、
本づくりにあたりました。
どうぞ本誌で奥修さんの珪藻アートの世界をおたのしみください。


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2019年4月16日火曜日

たくさんのふしぎ5月号『日本海のはなし』


5月号は、日本海のはなしです。


みなさまは、日本海にどのようなイメージをお持ちですか?

おいしい魚がとれる場所…?
打ち寄せる荒波…?
夕日と演歌…?
海水浴…?

明るく開放的な太平洋とくらべて、
どこか“地味”な海という印象をお持ちの方もいるでしょう。




この本では、そんな日本海の、実は凄いところを紹介します!
きっと、読み終えたら、
「ありがとう!日本海」
という気持ちになっていただけるかと思います。




文章を書いたのは、海洋学者の蒲生俊敬さん。
長年にわたる船上での海洋観測や研究が、作品に色濃く反映されています。
絵を描いたのは、ふしぎ新聞で「ふしぎ博物館」を
連載している、いしかわけんさんです。
明るくポップな雰囲気に仕上げていただきました。



海と陸地は離れていますが、両者は実は深く結びついています。
わたしたちの暮らしは、海とつながっているのです。
そんな大きなイメージが、みなさまに届きますように。


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2019年3月12日火曜日

たくさんのふしぎ4月号『家をかざる』


たくさんのふしぎ2019年4月号は『家をかざる』(小松義夫 文・写真)です。
 

著者の小松さんは、30年以上にわたり、世界各地の家を撮り続けてきました。その中でも、特にユニークなかざりを施された12の地域の家を紹介するのが本書です。
 
ヨーロッパから南米、アフリカなど、地域によって家の外観や素材も様々ですが、装飾の技法もまた異なります。
 
たとえば、ギリシャのヒオス島ピルギー村。黒いセメントの下地の上から漆喰を塗り、フォークでひっかいて模様をつけています。


ポーランドのザリピエ村の家は、花模様が外壁だけでなく、室内にまでたくさん。


イエメンのシュグルフ村の家では、石を薄く削ってできたステンドグラスが美しい光を取り込みます。


エクアドルのチンボラソ山麓の家では、草葺きの屋根がなんと三つ編みに!
 

色とりどりに美しく装飾された家の写真は、見ているだけで心が躍ります。家の写真から、そこに暮らす人々の生活が浮かび上がるようです。
 
ぜひご覧ください。


 
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2019年2月14日木曜日

たくさんのふしぎ3月号『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』


3月号『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』(堀内孝 文・写真/牧野伊三夫 絵)では、
「ヴェズ」と呼ばれる漁民の生活を紹介しています。
 


突然ですが、マダガスカルに行ったことはありますか? 
私はありません。
行かれたことがある人は少ないのではないかと思います。
マダガスカル、どこにあるかといいますと、アフリカ大陸の東側、インド洋に浮かぶ島国です。
島というと小さそうですが、面積は日本の約1.6倍、世界で4番目に大きな島です。
 

 
バオバブやキツネザルなど、マダガスカルは固有の動植物で有名ですが、人のくらしも独特です。
インフラが日本のように整っておらず、気候も日本とずいぶん違ったり、今でも時折ペストが流行したり、気軽に旅行ができる国ではないようです。
しかし、この独特な環境があるからこそ、旅行者の心を鷲づかみにしてしまう何かがあります。
著者の堀内孝さんは、マダガスカルに魅せられた一人。
およそ30年以上、マダガスカルに何度も通い、動植物や人びとのくらしを取材をされてきました。
 

 
「お金をたくさん持つ必要がない」
「車はもたず、一番の移動手段は、風と人の力だけで動くカヌー」
「カヌーを作る時には、設計図なしで適当に手作り」
「海が荒れて漁ができなくても、あせらずみんなでのんびり」
「子どもたちは学校に行くより、海であそぶ」。
これは、本作で描かれているヴェズの人たちのくらしの一部です。
なんともおおらかではありませんか? 
なんとなく閉塞感の漂う日本とは大違いだな・・・・・・と思ったり。
日本から遠く離れたマダガスカルにふく自由な風を、本作から感じ取って頂ければうれしいです
 

 
また風の力だけで移動をするカヌーを、どうやって操縦するのか詳しい解説もあります。
後ろから風を受けていると、カヌーがまっすぐ進むことは簡単にわかりますが、
横風のときや、真正面から風を受けたときに、どうやってカヌーを進めるのか、
私はこの本を担当するまで知りませんでした。
しかし、目的にむかってちゃんと前に進めるのです!
帆の構造は単純ですが、風の力を最大限にいかす仕組みに感心してしまいます。
 

 
著者の堀内孝さんが実際にカヌーに乗船した時の様子も紹介されています。
2年ほど前、打合せをしているときに、堀内さんがカヌーに乗って撮影された写真があったら、
子どもたちにもカヌーに乗った気持ちになってもらえて、
この作品の世界をよりリアルに感じてもらえるのではないでしょうか、
というようなお話をしたところ、昨年、ヴェズの村に再訪して、この写真を撮ってきてくださいました!
ほかにも、迫力の乗船写真が掲載されています。
それに合わせたテキストもヴェズの人たちの考え方にぐっとせまり、
本作の見所のひとつとなっています。
 

 
担当者が好きなのが、お料理の場面。
堀内さんが「ばつぐんにうまい」と書いた魚のスープ。
いつか自分も、蒸し暑いヴェズの村でこれを食べながら、
マダガスカルのお酒で一杯やったら、きっと最高だろうなと思ったのでした。
 


本作の刊行を記念して、
東京銀座の森岡書店さんで、
「写真家 堀内孝と画家 牧野伊三夫による 
マダガスカル展」が開催されます。
会期は、3月26日(火)ー31日(日)
29日(日)19時からは、お二人のスライドトークと
デザインを担当された青木隼人さんによるヴァリーハ(マダガスカルの弦楽器)の演奏があります。
詳細のお問い合わせは、森岡書店(東京都中央区銀座一丁目28-15鈴木ビル/03-3535-5020)まで。

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