2019年7月31日水曜日

たくさんのふしぎ9月号『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』

 9月号は『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』(木原育子 文/沢野ひとし 絵)。


 作者の木原育子さんは、現役の新聞記者です。2014年に中日新聞(東京新聞)で掲載された、「さまよう日章旗」という連載記事の取材班の一人でした。

https://www.chunichi.co.jp/hold/feature/wandering_flag/list/CK2014081502000066.html

 今回の絵本は、その記事が基となっています。太平洋戦争で戦った日本兵の日章旗がアメリカで発見され、その持ち主を、木原さんたち記者が探し歩く様子を描きます。

 主人公の一郎くんは、出征前は静岡市の郵便局で働いていました。


 一郎くんを知る人たちに取材し、誰からも好かれる好青年だったことがわかってきます。木原さんはその一郎くんの写真を探しますが、静岡が空襲で焼け野原となったためか、写真はどこにも残されていません。
 あきらめかけた木原さんでしたが……



 息子を待つ母、弟のために日章旗に寄せ書きを集める姉、そしてそれらの事実を見つけだしていく記者。
 さまざま人たちの思いがつまった絵本です。

一郎くんたちが遊んでいた神社


 新聞記事や絵本にも書ききれなかった、一郎くんと残された人々についてのことを、福音館書店公式Webマガジン「ふくふく本棚」で紹介しています。よろしければご一読ください。(I)


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2019年7月12日金曜日

たくさんのふしぎ8月号『クジラの家族』

たくさんのふしぎ2019年8月号は『クジラの家族』(水口博也 文・写真)です。



クジラたちは、海の中で歌うように声を出し、家族で会話をしています。
海の中では音は地上よりも速く伝わり、また、声が届く距離も、大型のクジラでは数百キロに及ぶと言われています。

クジラの家族の会話は、その内容も高度なもの。親から子へ、狩りの方法などを代々、伝えてきました。

私たち人類は、世界的な通信網を発達させましたが、それもたかだかここ100年ほどのこと。海の中では、人類の有史以前から、クジラたちが通信社会を営んできたのです。


そんな話を写真家の水口さんからお聞きして、クジラたちの賢さを、「家族のきずな」をキーワードにして描いてもらったのが、この写真絵本。


最後に登場する真っ白いマッコウクジラの子どもが、水口さんをベビーシッターに選ぶ場面は、ことに愉快です。
マッコウクジラの赤ちゃんです
シロナガスクジラの潮ふき!

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