2019年2月14日木曜日

たくさんのふしぎ3月号『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』


3月号『青い海をかけるカヌー マダガスカルのヴェズのくらし』(堀内孝 文・写真/牧野伊三夫 絵)では、
「ヴェズ」と呼ばれる漁民の生活を紹介しています。
 


突然ですが、マダガスカルに行ったことはありますか? 
私はありません。
行かれたことがある人は少ないのではないかと思います。
マダガスカル、どこにあるかといいますと、アフリカ大陸の東側、インド洋に浮かぶ島国です。
島というと小さそうですが、面積は日本の約1.6倍、世界で4番目に大きな島です。
 

 
バオバブやキツネザルなど、マダガスカルは固有の動植物で有名ですが、人のくらしも独特です。
インフラが日本のように整っておらず、気候も日本とずいぶん違ったり、今でも時折ペストが流行したり、気軽に旅行ができる国ではないようです。
しかし、この独特な環境があるからこそ、旅行者の心を鷲づかみにしてしまう何かがあります。
著者の堀内孝さんは、マダガスカルに魅せられた一人。
およそ30年以上、マダガスカルに何度も通い、動植物や人びとのくらしを取材をされてきました。
 

 
「お金をたくさん持つ必要がない」
「車はもたず、一番の移動手段は、風と人の力だけで動くカヌー」
「カヌーを作る時には、設計図なしで適当に手作り」
「海が荒れて漁ができなくても、あせらずみんなでのんびり」
「子どもたちは学校に行くより、海であそぶ」。
これは、本作で描かれているヴェズの人たちのくらしの一部です。
なんともおおらかではありませんか? 
なんとなく閉塞感の漂う日本とは大違いだな・・・・・・と思ったり。
日本から遠く離れたマダガスカルにふく自由な風を、本作から感じ取って頂ければうれしいです
 

 
また風の力だけで移動をするカヌーを、どうやって操縦するのか詳しい解説もあります。
後ろから風を受けていると、カヌーがまっすぐ進むことは簡単にわかりますが、
横風のときや、真正面から風を受けたときに、どうやってカヌーを進めるのか、
私はこの本を担当するまで知りませんでした。
しかし、目的にむかってちゃんと前に進めるのです!
帆の構造は単純ですが、風の力を最大限にいかす仕組みに感心してしまいます。
 

 
著者の堀内孝さんが実際にカヌーに乗船した時の様子も紹介されています。
2年ほど前、打合せをしているときに、堀内さんがカヌーに乗って撮影された写真があったら、
子どもたちにもカヌーに乗った気持ちになってもらえて、
この作品の世界をよりリアルに感じてもらえるのではないでしょうか、
というようなお話をしたところ、昨年、ヴェズの村に再訪して、この写真を撮ってきてくださいました!
ほかにも、迫力の乗船写真が掲載されています。
それに合わせたテキストもヴェズの人たちの考え方にぐっとせまり、
本作の見所のひとつとなっています。
 

 
担当者が好きなのが、お料理の場面。
堀内さんが「ばつぐんにうまい」と書いた魚のスープ。
いつか自分も、蒸し暑いヴェズの村でこれを食べながら、
マダガスカルのお酒で一杯やったら、きっと最高だろうなと思ったのでした。
 


本作の刊行を記念して、
東京銀座の森岡書店さんで、
「写真家 堀内孝と画家 牧野伊三夫による 
マダガスカル展」が開催されます。
会期は、3月26日(火)ー31日(日)
29日(日)19時からは、お二人のスライドトークと
デザインを担当された青木隼人さんによるヴァリーハ(マダガスカルの弦楽器)の演奏があります。
詳細のお問い合わせは、森岡書店(東京都中央区銀座一丁目28-15鈴木ビル/03-3535-5020)まで。

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