2018年4月10日火曜日

『海中を飛ぶ鳥 海鳥たちのくらし』

たくさんのふしぎ2018年5月号は『海中を飛ぶ鳥 海鳥たちのくらし』です。


作者の寺沢孝毅さんは、
北海道の天売島で小学校の先生をしながら、
そこで繁殖する海鳥たちの観察や保護活動を続け、
その後世界じゅうの海鳥たちを撮影するようになった写真家です。



その寺沢さんに、
「海鳥とはどんな生きものなのか描いてみませんか」と
お願いしてできたのが今月号です。

おなじみのカモメやペンギンから、天売島に繁殖するウトウ、


南極と北極周辺を片道12000キロメートルも移動するハシボソミズナギドリ、

羽ばたきをせずに数時間飛ぶことができるニュージーランドアホウドリなど、


様々な海鳥が、空、海、陸でどのように過ごしているのか、
鮮やかに写し出されています。


海鳥はその名の通り海でくらすようになった鳥たちなので、
陸上で動くのは苦手で歩き方もぎこちなく
(ペンギンがよちより歩きなのもそのせいなのですね)、
肉食動物などの天敵にも狙われやすいのです。

だから海でだけ生きていければいいのですが、
どうしても陸に上がらなければならないときがあります。
それは、卵をかえしてヒナを育てるとき。

海鳥たちはさまざまな工夫をこらして、
危険な陸上での子育てを乗り切っています。

そんな子育て奮闘記をお楽しみください。




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2018年3月13日火曜日

『森の舞台うら』


あたりまえのようにあるもののなかに、
驚くような仕組みが隠されていることがあります。
「森の土」がそうです。
たくさんのふしぎ4月号『森の舞台うら』(松浦陽次郎 文/山村浩二 絵)では、
森の土と樹木の間にある、複雑な仕組みをわかりやすく紹介します。


 
本作を担当するまで、
実は担当者も森の土について知らないことばかりでした。
たとえば、木が養分を吸収することのできる土は、
どれくらいの深さまであるでしょうか?
場所にもよりますが、その深さはせいぜい20センチほど。
スコップですこし掘れば出てくるぐらいの範囲です。
もっと深くまであると思っていたのに・・・・・・
 

 
しかも、落ち葉を、動物たちと菌類がすこしずつ分解して、
動物のフンと砂や粘土などの鉱物と菌類の糸があわさって、
この薄い土の層ができるまでには、数十年以上かかるというのです。
なんと気の遠くなるような・・・・・・
 

 
文を担当した松浦陽次郎さんは、パプアニューギニアなどの熱帯から、アラスカなどの北極圏まで、
世界各地の森林と土壌を研究されています。
打合せで、こうおっしゃっていたことがあります。

「土壌を研究すればするほど、それがどれほどよくできたシステムかがわかるんです。
人間には絶対に作りだせないほど、繊細で精巧なものなんです」

ひとつの例として、メソポタミア文明のあった地域は今では砂漠地帯ですが、
文明が栄えていたころには、森林が広がっていたそうです。
しかし、人間が燃料にするために木をかりつくし、土壌がだめになり、
食料の生産もできなくなり、文明が崩壊してしまったのだとか。
たしかにあの地域の森林は数千年経った今でも戻ってきていません。



担当者は子どもの頃から、
土のなかの養分や水分を吸収するのは、木の根だけだと思っていました。
しかし、実は木の根と菌類は共生していて、
菌が根の入りこめないすきまに菌糸をのばし、
根よりも広い範囲から水や養分をはこんで、根に受けわたしているというのです。
カラスノエンドウの根が菌と共生しているというのは知っていましたが、
森の木のほとんど菌類と共生しているなんて、
世の中まだまだ知らないことばかりだと思い知らされます。
 

 
そんな森の裏側にできている精巧なシステムを
とてもわかりやすく描いたのが『森の舞台うら』です。
 
絵は、『くだものだもの』などの多数の絵本を執筆されてきた山村浩二さんが、
実際の森を取材して、実物から離れてしまわない絶妙なところで、擬人化して描かれています。
たとえば、24ページ。
葉が枝から離れたあとに残る「葉痕」までしっかり描かれています。
この葉痕はコナラのものです。
親しみやすい表現の絵ですが、細部にまで心をくばり、
科学的な事実もしっかりおさえてあるのです。
 

 
そろそろ芽吹きがはじまります。
森が1年でもっとも美しい季節。(だと担当者は思っています)
ぜひ『森の舞台うら』を読んで、森に出かけてみてくださいね。
森の見え方が変わっているはずです。
 
(K)
 
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2018年2月15日木曜日

『カブトムシの音がきこえる』

たくさんのふしぎ2018年3月号は『カブトムシの音がきこえる』です。
http://www.fukuinkan.co.jp/maga/detail_fushigi/



カブトムシといえば、夏休みの昆虫採集でもとりわけ人気の虫ではないでしょうか。
しかし寒さ厳しい今は、まるまるとした幼虫の姿で土の中にいます。
この時期は「地面の下でひたすら腐葉土を食べてすごしている」……と、図鑑や本などには書いてありますが、カブトムシの幼虫たちが11か月もの長い時間を、地中でどんな風にくらしているのでしょう。

ただひとところで腐葉土を食べ続けるのか? 1匹だけでくらしているのか? 天敵は……? 

地中でのカブトムシの幼虫の暮らしぶりを、地上での暮らしぶりをつたえる本のように、生き生きと描く一冊をつくれないか、そんな本ができたら喜んでくれる子どもたちがいるのではないかと本作りをはじめました。

早速テキストを書いてくださる方をさがしました。今から6年ほど前のことです。そこで出会ったのが、幼虫たちの生態の研究をはじめられていた当時26歳の東大大学院生の小島渉さんでした。

きくと、幼虫たちは地中で“集団生活”を送っている、ということがわかってきていました。ただし、まだいくつか解けていない大きな謎がある、とのことでした。
そこで、全容がわかったら絵本にしましょう、とお約束し、ご研究をまってできあがったのがこの本です。

ここで、取材の様子を少しご紹介!


カブトムシの成虫が活発に動き始める、夜11時も過ぎたころ。
昨年夏、東京都心部にある某公園にて、作者の小島さん(左)と公園を管理する方(右)とともに、カブトムシを探しました。
実はカブトムシは、落ち葉や朽ちた木の多い公園・学校など、意外と身近な場所に多く生息しています。幼虫のエサとなる腐葉土があるためです。


そこには驚くほどたくさんのカブトムシが!


昼間の公園で、アジサイの陰で休むカブトムシを発見!

なかなかの大きさです。


小島さんのほかにも、たくさんのカブトムシ幼虫に関する最先端の研究をされている方々にご協力いただきました。

幼虫たちはどうして土の中でちりぢりにならないのか。
なぜ腐葉土だけを食べて体を短期間で大きくすることができるのか。
蛹の状態で何が起きているのか。

最新の研究によって徐々に明らかになってきたカブトムシの幼虫のひみつが、この一冊につまっています。

ぜひお手にとってみてください。

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2017年12月15日金曜日

『みんなで龍になる 長崎の龍踊り体験』

たくさんのふしぎ2018年2月号は『みんなで龍になる 長崎の龍踊り体験』です。



独特の文化をはぐくんできた長崎の町。
そこで修学旅行の子どもたちが、「龍踊り」を演じ、みんなで一頭の龍になります。その様子を描いた絵本です。

龍踊りは全員の息を合わせ、それぞれがきちんと自分の役目を果たすことがとても重要です。

龍が生きているかのような動きはどうやってつくっているのでしょう。絵本では、子どもたちの動きを追って、わかりやすく説明しています。


また、龍踊りには楽隊も欠かせません。長喇叭(ながらっぱ)や蓮葉鉦(ばっつぉ)など、独特の楽器もご紹介。


練習が終わると、いよいよ発表会の場所まで移動します。
発表の場所は長崎歴史文化博物館や駅前広場、出島など、いろいろです。


よく「チームワークを大切に」などと言いますが、
それぞれの子どもが龍の体の一部になり、みんなで一頭の龍になっていくその姿は、チームワークを実感として味わわせてくれます。

ぜひご覧ください。

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2017年11月28日火曜日

『地蔵さまと私』

たくさんのふしぎ2018年1月号は、
『地蔵さまと私』です。




この作品は、写真家・田沼武能さんの原点から本文が始まります。
田沼さんは、東京の浅草の下町・浅草で生まれ育ちました。
そして、16歳だった1945年に東京大空襲にあいます。
その時に見たある光景が忘れられず、
本作で紹介する地蔵さまと子どもの行事を長年とり続けてきました。



特に詳しく紹介する地蔵さまと子どもの行事は、
山形県尾花沢市の「地蔵ころがし」




群馬県玉村町の「地蔵さまワッショイ」




福井県小浜市の「化粧地蔵」




そして、京都府京都市の「地蔵盆」です



1980年から2016年まで、様々な時期に撮られた写真を紹介しています。
同じ地蔵さまの行事でも、時間の流れとともに変化をしていることもあります。
しかし、田沼さんが長い時間をかけて撮影してきた作品からは、
時代が移ろっても変わることのない、
目の前にある瞬間を楽しく生きる子どもの時間の尊さが、
地蔵さまとのかかわりを通して浮かびあがってきます。



本書を制作する過程で、田沼さんは何度も
「日本の子どもたちが地蔵さまと楽しんでいられるのは、
平和であるからこそ。絶対に戦争は駄目です」
とおっしゃっていました。
「しかし、この平和が続くのか、心配になることがある」とも。
「いつまでもこの平和が続くように」と願いを込めて作った『地蔵さまと私』を、
これからを生きる多くの子どもたちに読んでもらうことができれば幸いです。

田沼武能さんは、戦後を代表する写真家の一人です。
学校を卒業後、写真の世界に入り、木村伊兵衛氏に師事しました。
そして、世界各地の子どもたち、人間のドラマ、
文士や芸術家の肖像をとり続けています。
1995年から2015年年まで、日本写真家協会の会長をつとめ、
2003年に文化功労者に顕彰されるなど、長く第一線で活躍されています。

1月号には、
武藤文昭さんの絵による付録一枚絵、
「お参り犬すごろく」もついています。



合わせてお楽しみください。


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