想像してみよう
関口シュン
ルナのおばあちゃんのバアバは、高原で野菜を作りながら、大好きな星空をながめて暮らすのが大好きな人です。野菜を作っている人は多くても、ここまで星空のことに詳しい人は珍しいかもしれません。詳しいだけでなく、小学生のルナにもわかりやすく星空のことを教えてくれるところが、本当に心から星空のことが好きなんだなぁと感じます。
「珍しい」という言葉から、皆さんはどんなことを思いますか?
「みんなと違う」「違っているところが目立つ」「変わっている」……
そうですね、珍しいということは、みんなと違うところが目立って珍しがられるけど、その違っているところがとても魅力的で、その人らしい個性が輝いている! そんな感じがしますね。
そんなバアバだからこそ、ちょっと個性的なルナが新しい学校になじもうとする気持ちに寄り添えたのでしょう。きっとバアバも子どもの時から同じ思いを抱いてきたのかもしれません。
今はまだ、みんなと違って珍しいところも、そのうちにきっと、「ルナらしくていいよ!」と輝くはずだからと思って、バアバは大好きな星空の話をはじめたのでした。
そして、バアバはこうも考えています。
星空を動いてゆくわく星たちは、地球と同じ太陽系のわく星ながら、それぞれの個性をもって地球と一緒に動いている。地球から見れば太陽も月も地球の周りをまわっているように見えるから、みんな星空をめぐる仲間のようなもの。
そのわく星一つひとつの個性を、昔の人たちは、神話や伝説の神様に例えたり、地上で起こるできごとと結びつけたりしてきたのでしょう。
わく星だけでなく、広大な星空にも星座をつくって、個性的で特別な場所として楽しんできたというわけです。
そこで、この絵本では、星空や宇宙のシクミを科学的に伝えようとすることよりも、星空を眺めてきた人類がどんな想像を楽しんできたのかを描こうと思いました。その星空に向けた想像力は、今の時代でも私たちをワクワクさせてくれるからです。
ときには、心がモヤモヤしているときに星空はいやしてくれたり、元気にしてくれたり、夢や希望を星にお願いしたりもしますね。
街なかや忙しい暮らしでは、なかなか星空をながめることはないかもしれませんが、晴れた夜にはぜひ見上げてみてくださいね。地上の自然と同じように、自分たちは星空にも守られながら、星とつながって生きていることを感じますよ。
関口シュン
1957年、東京生まれ。永島慎二氏に師事し漫画家として月刊ガロにてデビュー。漫画作品のほかに学習絵本作品や児童読み物、犬猫のしつけ本の挿絵など活躍は多岐にわたる。主な作品に『星空の話』(福音館書店)、『日食・月食のひみつ』(子どもの未来社)、『地球の中に、潜っていくと…』(たくさんのふしぎ2019年12月号)などがある。また、心理占星術家として30年以上のキャリアをもち、講座やセミナーなどで後進の育成にあたっている。主な占星術の関連本『はじめての心の星うらない』(かもがわ出版)など。