田沼さんは、東京の浅草の下町・浅草で生まれ育ちました。
そして、16歳だった1945年に東京大空襲にあいます。
その時に見たある光景が忘れられず、
本作で紹介する地蔵さまと子どもの行事を長年とり続けてきました。
特に詳しく紹介する地蔵さまと子どもの行事は、
山形県尾花沢市の「地蔵ころがし」
群馬県玉村町の「地蔵さまワッショイ」
福井県小浜市の「化粧地蔵」
そして、京都府京都市の「地蔵盆」です
1980年から2016年まで、様々な時期に撮られた写真を紹介しています。
同じ地蔵さまの行事でも、時間の流れとともに変化をしていることもあります。
しかし、田沼さんが長い時間をかけて撮影してきた作品からは、
時代が移ろっても変わることのない、
目の前にある瞬間を楽しく生きる子どもの時間の尊さが、
地蔵さまとのかかわりを通して浮かびあがってきます。
本書を制作する過程で、田沼さんは何度も
「日本の子どもたちが地蔵さまと楽しんでいられるのは、
平和であるからこそ。絶対に戦争は駄目です」
とおっしゃっていました。
「しかし、この平和が続くのか、心配になることがある」とも。
「いつまでもこの平和が続くように」と願いを込めて作った『地蔵さまと私』を、
これからを生きる多くの子どもたちに読んでもらうことができれば幸いです。
田沼武能さんは、戦後を代表する写真家の一人です。
学校を卒業後、写真の世界に入り、木村伊兵衛氏に師事しました。
そして、世界各地の子どもたち、人間のドラマ、
文士や芸術家の肖像をとり続けています。
1995年から2015年年まで、日本写真家協会の会長をつとめ、
2003年に文化功労者に顕彰されるなど、長く第一線で活躍されています。
1月号には、
武藤文昭さんの絵による付録一枚絵、
「お参り犬すごろく」もついています。
合わせてお楽しみください。
武藤文昭さんの絵による付録一枚絵、
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