2018年12月13日木曜日

たくさんのふしぎ1月号『盆栽をそだてる』

1月号は、『盆栽をそだてる』(村田行雄 文 関戸勇 写真)です。
埼玉県さいたま市にある盆栽園「九霞園」の三代目である村田行雄さんが、日々の仕事についてつづった作品です。



園内はモミジやカエデなどの雑木盆栽や、実もの花ものなど、多種多様な盆栽であふれています。
著者は好きな植物に似合う鉢をあわせるだけで、なんでも盆栽にすることができると言います。本書にでてくる盆栽を、二つご紹介します。


これは「キブシ」の盆栽です。
鉢が植物の繊細さを引き立てていて、全体の調和を感じませんか。
もしこれにちがう鉢をあわせたら、まったくちがった印象になるでしょう。盆栽は鉢えらびが重要なのです。


これは「パセリ」の盆栽です。食べ物も盆栽になるのです。
ずっとながめていると、小さなパセリが巨木に見えてくるからふしぎです。

読者にやさしく語りかけるような文章と、盆栽園の光景をあたたかく見守るように切り取った写真からなるこの本は、「盆栽って小難しそう…」と思っている方にこそ読んでいただきたい一冊です。

付録「きせかえ盆栽」付き。
切り取って組み合わせて遊びます。

◆「たくさんのふしぎ」のご購入方法◆
①全国の書店さんでお買い求めいただけます(お取り寄せとなる場合もあります)。
②ウェブ書店さんでもご購入いただけます。
③定期購読についてはこちらをご覧ください。

2018年11月15日木曜日

たくさんのふしぎ12月号『スウェーデンの 変身する家具』




12月号は、『スウェーデンの 変身する家具』。
スウェーデンを何度も旅した画家の深井せつ子さんが、
現地で出会ったちょっとかわった家具を紹介する本です。


 
制作中の打合せで、とくに盛り上がった家具のひとつがこれです。


 

このベッドを見たとき、なんて楽しそう!と声が出てしまいました。

 担当者は小学生のころ、ドラえもんのように押し入れで寝ていました。
秘密基地のようで、まっくらな押し入れに入るたびワクワクしたことを覚えています。
この箱形ベッドも、きっと子どもからしたら楽しい遊び場でしょう。

実用性もばっちりで、なかはとてもあたたかいそうです。
(スウェーデンは、とっても寒い国ですからね。)


 



このタンスは、見た目はタンスなのに、
タンスとしては使えません。
では、何に変身するかというと……





ベッドに!


合理的で、実用的につくられたものもあれば、
どこかユーモアがあって、クスッとしてしまうものもある。
工夫と智恵がつまった北欧家具の世界を、
深井せつ子さんのあたたかみのある絵でつつんだ作品です。




スウェーデンの美しい風景も楽しめます


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2018年10月12日金曜日

たくさんのふしぎ11月号『くりばやし』

文字のない写真絵本『はるにれ』で著名な写真家、姉崎一馬さん。



植物、とくに樹木の写真を撮るため、世界中を取材で飛び回っていますが、その原点ともなったのが、かつて実家のとなりにあった栗林。東京都、野川沿いの住宅街で育った姉崎さんは、その栗林を観察し続け、メモと写真で記録していました。それをまとめたのが、この絵本です。


冬の葉を落とした姿から、春に芽吹き、夏に茂りと、四季それぞれの姿を見せる木々ですが、観察して1年目と2年目では、木の大きさが明らかに違い、木も成長していることがわかります。

また、みな同じように見える木々もそれぞれ姿が違い、地面に落ちるその影の姿もそれぞれ。ある冬の朝のほんの一瞬、その影が作り出した美しい自然の「絵」は、圧巻です。


ぜひご覧ください。

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2018年10月5日金曜日

ふしぎタータン、スコットランドタータン登記所に登録成功!

9月号『すてきなタータンチェック』作品中で作成した、
「たくさんのふしぎタータン」が、
スコットランドのタータン登記所に無事に認定されました!

↑若草色のたくさんのふしぎタータン
教文館ナルニア国で開催中のたくさんのふしぎフェア
これでただのすてきなチェック?から、
「タータン」の仲間入りをしました。バンザイ! 

The Scottish Register of Tartans(タータン登記所)の
ホームページ↓ 認定されたタータンの情報が更新されます。
たくさんのふしぎタータンは、登録番号12257号とのこと。
https://www.tartanregister.gov.uk/tartanDetails?ref=12257

ただいま銀座教文館さんで開催中の<たくさんのふしぎフェア>では、
この柄をつかった手織りの羊毛マフラーを展示しています。
このマフラー、私もほしい…! というご希望がありましたので
準備が整い次第、限定5本教文館さんで販売予定です
(応募の方多数の場合は抽選の予定です)。

手織りにはとても時間がかかるので、織りを担当くださる
手織り工房タリフさんは大忙し。
クリスマスまでにお渡しできるようにと準備中です。
ご興味のある方は、ぜひ教文館さんにお問い合わせください。

教文館ナルニア国
TEL:03-3563-0730 (午前10時~午後8時)
narnia@kyobunkwan.co.jp

2018年10月3日水曜日

イベント告知① 『アリになった数学者』ハードカバー版刊行記念!森田真生×伊藤亜紗対談!

昨年、たくさんのふしぎ9月号としてデビューした『アリになった数学者』。
刊行よりほどなく完売しておりましたが、
このたび、10月5日に「たくさんのふしぎ傑作集」の1冊として
新装ハードカバーになって刊行されることになりました!

帯には安野光雅さんがことばをよせてくださいました
デザインは月刊誌版にひきつづき、寄藤文平さん+吉田考宏さん(文平銀座)

ハードカバーに! というお声をくださった皆様ありがとうございました。
新装刊行を記念いたしまして、
10月18日(木曜日)、銀座教文館6階のウェンライトホールにて
森田真生さんと、『どもる体』(医学書院)の著者伊藤亜紗さんの
対談トークイベントを開催いたします!

対談タイトルは、<からだをとおして考える 数とことば>です!

からだをとおして感じ考える、数とことば。
どんなお話がきけるのかとてもたのしみです。

時間は18時~19時30分を予定しております。参加費は3000円です。

以下よりお申し込みください。
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/info/ada3d4b

みなさま、おまちしております。

*教文館さん6階のナルニアホールにて、
<脇阪克二さんとめぐるアリになった数学者展>を開催しております。
こちらもあわせてごらんください。
のちほど様子をおとどけします~!

イベント告知② 脇阪克二さんとめぐる『アリになった数学者』展@銀座教文館ナルニアホール

昨日より、銀座の教文館で『アリになった数学者』ハードカバー化記念展示がスタートしました!



絵を担当くださった脇阪克二さんは、マリメッコやラーセンで
ながくファブリックデザイナーとして活躍され、
現在も京都のSOU・SOUのデザインを
一手にひきうけていらっしゃる方です。
赤ちゃん絵本の名作『ぶー・ぶー・ぶー』(弊社0.1.2.えほんシリーズ)など
ちいさなこどもたちにむけた絵本作品も。

そんな脇阪さんにとっても「中途半端な仕事ではなかった。」という
『アリになった数学者』制作の舞台裏を、
脇阪さんがご案内くださいます。

どのように一枚一枚の絵を仕上げられたのか、担当もはじめて知った
絵にこめられたおもいもありました。

マリメッコ時代に描かれたデザイン画原画なども!
ぜひおはこびください!
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/na_event



本のなかで数学者と働きアリが一生懸命数える
アスパラガスの実、ごらんになったことがありますか?
北海道在住の写真家浅井美紀さんよりお送りいただきました。

台風のなか無事に到着!
花瓶にいけて・・



とてもきれいです。(繊細な葉っぱ・・霧を毎日ふいてもらっていますが
いつまでげんきでいてくれているか、ちょっと心配です。)
会場でごらんいただけたらとおもいます!

2018年9月13日木曜日

たくさんのふしぎ10月号『植物でシャボン玉ができた!』


植物からなぜシャボン玉ができるのでしょう。

それは、植物に含まれる「サポニン」という物質のためです。


このサポニンは、身近な雑草から野菜やマメまで、非常に多くの植物に含まれています。

これが界面活性剤の働きをするのです。

簡単に言うと、石けんのように使うことができます。

しかし一口にサポニンといっても、その種類は様々で、植物によって含まれるものは違うのです。






特にムクロジやサイカチは泡立ちのよさから、世界各地で洗濯などに使われてきました。

サイカチのサヤと、若いムクロジの実


サポニンが含まれているかを知るのは簡単。

植物を細かくし、水に入れて振ってみればよいのです。

この方法は薬学の現場でも、サポニンの有無を簡単に判定する方法として使われているそうです。



著者の高柳さんは、いろいろな植物を実験していくうち、泡立ちのよい種類の植物でも、うまくシャボン玉になるものとならないものがあることに気がつきました。

ダイズの泡



ひとつひとつの泡が大きいものと、細かい泡がたくさんたつもの。泡が立つといっても、その様子は植物によって異なっているのです。



シャボン玉になりにくい植物でも、なんとか作れないものだろうか。
そこで高柳さんが編み出したのが、植物のごく細い茎をストローにして吹く方法でした。
そーっと吹くと、ぷくっとした泡の球ができるのです。



市販のシャボン液とは違い、大人でもかなりの集中力が要求されるこのシャボン玉遊びは、できた時の喜びもひとしおです。
本では、シャボン玉液を作り方や吹く時のコツも載せています。

シャボン玉を吹くのが難しいという子には、半円のシャボン玉遊びも楽しいですよ。

ムクロジの半円シャボン玉


ストローからシャボン液まで、すべて植物でまかなってしまうという植物遊びの一冊です。作り方は簡単!! ぜひ試してみてください。


2018年9月4日火曜日

たくさんのふしぎ9月号『すてきなタータンチェック』② オリジナルタータンづくり編!

『すてきなタータンチェック』刊行を記念して、
読者の子どもたちをイメージしてオリジナルタータンをつくることになりました!
その完成までのお話を、ご紹介します。

" Takusan no Fushigi - Lots of Wonders "


『すてきなタータンチェック』の絵を手がけた穂積和夫さん。

ダンディにきめる穂積さん

長年ファッションイラストレーションの
第一線をはしっていらした方です。
アイビーボーイアイビーギャルというキャラクターで
アイビー世代にはおなじみです

穂積さんが、長年チェックの布地を手織りしてきた明石恵子さんの力をかりて、
色や柄のおおまかなイメージをたちあげます。
明石さんはそのイメージを土台にして、具体的な色糸をえらび
またよりタータンらしいチェックの配色を提案します。
そのキャッチボールをすることしばし……。



明石さんによると、最近は、スコットランドタータン登記所に
正式にオリジナルの柄として登録されるためには
登録するタータンがつくれらた背景、そしてどういう思いが込められたのか
という記述も審査を左右するそうで……、
ストーリーづくりにも熱がこもります。

「小学校3年生がメインの読者。3本の線をいれてはどうだろうか?」
「子どもたちをあらわす色は何色がいい?」

さらに試作をくり返すこと数ヶ月。
ついにオリジナルタータンが完成しました!

明石さんが手織りで仕上げたマフラー
撮影:駒田匡紀

じつはこのタータン、現在スコットランドタータン登記所への
登録作業を進めています。
無事に登録ができましたら、またご紹介させてください。

" Takusan no Fushigi - Lots of Wonders "
This tartan was designed for a book "Wonderful Tartan" published in September 2018 by Fukuinkan Shoten in Tokyo Japan as a monthly publication for children of 3rd grade at primary school from which they will learn about tartan and its history.
The green symbolises children who glow as new leaves. The three white lines marks their 3rd year in school, The red and dark blue are for the parents, teachers and all adults who will support the children. Light blue is the sky and the yellow links all the pupils together.“



2018年8月29日水曜日

穂積和夫さん×大橋歩さん 『すてきなタータンチェック』刊行記念イベントのご案内です! 

イベント延期のお知らせです

このたび9月8日(土)に予定しておりました「【トークイベント】『すてきなタータンチェック』(奥田実紀文・穂積和夫絵、福音館書店)刊行記念 穂積和夫と大橋歩が語るファッション・イラストレーション」ですが、穂積和夫さんのお怪我により出演が難しくなり、延期することとなりました。

イベントを楽しみにしていただいたお客様には大変申し訳ございませんが、 穂積和夫さんの体調が良くなり次第、再度日程を告知いたしますので、お待ちくださいますようお願いいたします。

この件に関しまして、ご質問等ございましたら、下記までご連絡ください。

銀座 蔦屋書店:03-3575-7755

(9月3日月曜日加筆)



★★★★★★★イベントのご案内です!★★★★★★


穂積和夫と大橋歩が語るファッション・イラストレーション

銀座蔦屋書店さんにて、
9月8日(土曜日)19時より
たくさんのふしぎ9月号『すてきなタータンチェック』刊行記念
のトークイベントを開催します!

絵を手がけた御年87歳のマエストロ、ことファッションイラストレーション
の名手穂積和夫さんと、
ゲストに、「平凡パンチ」の表紙絵、さらにその後も広告・雑誌などで
幅広い魅力的なお仕事をされてきた大橋歩さん
をお迎えしての超豪華共演です!
穂積和夫さん


大橋歩さん


1960年代からイラストの世界でご活躍するお二人だからこそ語ることの出来るファッションイラストの世界についてお話し頂きます。こんな豪華な組み合わせは、またとない貴重なひと時となるはずです!

当日は、この本のために穂積和夫さんと織り研究の明石恵子さんが
デザインされた「たくさんのふしぎオリジナルタータン」も
ごらんいただけます。

イラストや絵を描かれる方、ファッションがお好きなかたがた、
雑誌がお好きな方々……みなさんどうぞおこしください。
大人むけのイベントです。

詳細は以下蔦屋さんサイトをご参照ください。
チケットをお買い求めいただけますとご参加いただけます。
おまちしています!

https://store.tsite.jp/ginza/event/art/3239-1433450827.html

2018年8月3日金曜日

たくさんのふしぎ9月号は『すてきなタータンチェック』①

たくさんのふしぎ9月号は『すてきなタータンチェック』。
奥田実紀 文  穂積和夫 絵

おしゃれに目覚める小学生の子どもたちに、古今東西の人々が夢中になった、
このすてきなチェック柄をご紹介します。

そのドラマチックな歴史、ファッション、定義などなど、
さいしょからおしまいまで、タータンチェックづくしの1冊です!

文章を担当した奥田実紀さんは、数十年来のタータンチェック愛好家です。

奥田さんがタータンチェックと出会った当時、いまのように便利な
インターネットもなく、日本語で書かれたタータンチェックの本も
まだなかったそうです。

奥田さんがタータンチェックに出会ったのは、1960年代の仙台でした

そんななか、タータンチェックへの情熱だけで、洋書にかじりつき
ついには、その誕生の地スコットランドを訪ね、タータンチェックの本を
3冊も刊行するに至った奥田さん。
その情熱の数十年を追体験しながら、タータンチェックの魅力にせまる1冊です。


小学生のころ、大のチェック好きだった奥田さん。10代になると、
なかでも、"タータンチェック”に惹かれていることにきづきます

そして、20代で訪れたカナダのプリンスエドワード島で、
プリンスエドワード島タータンに出合います。
「タータンチェックはイギリスのものじゃないの?」
ここから奥田さんのタータンをめぐる長い旅がはじまります!

念願叶い、おとずれたスコットランドでは、
タータンチェックにゆかりの深い方々に直接インタビューをかさねます

そうして見えてきた……タータンチェックのドラマチックな歴史

さらにはその定義まで……

そして、ついには、
この本の絵を担当した穂積和夫さんと、
長年チェックを手織りしてきた友人の明石恵子さんの力をかりて、
「たくさんのふしぎオリジナルタータン」を作成します!


長くなってしまいました!
オリジナルタータン作成秘話は、②につづきます……!

(M)


2018年7月11日水曜日

『デタラメ研究所』

たくさんのふしぎ2018年8月号は『デタラメ研究所』です。



サイコロを見ると、小学生のときに経験した
摩訶不思議なきもちがよみがえります。

<サイコロをふったとき、「1」の目がでる“確率”は6分の1>
この法則を学校できいてきた担当は、
放課後、家のボードゲームの箱からおもむろにサイコロをとりだし、
30回、ほんとうにサイコロをふってみることにしました。

果たしてその結果は?
6分の1からは、ほど遠く、
「1」が2回、「2」は8回、「3」は・・・・・・と、
とても偏った結果になったのでした。

なにかよからぬ世界と通じたような思いがし、
すぐにサイコロをしまったのを、昨日のように覚えています。

こんな体験をした人は意外に多く、この話をすると、
やったことある! あれ、6分の1にならないよね!
という反応がかえってきます。100回以上試した強者、
なかには、自由研究のテーマにまでした人もいました。

そこで、いつかこの不思議をテーマにした1冊をと考え、
統計学とプログラミングを研究する小波秀雄さん、そして
『8月のソーダ水』などのマンガで人気のコマツシンヤさんを
著者におむかえし取り組んだのが、この本です。
(企画より完成まで、7年を要しました!)

マンガ形式でお送りする、不思議な確率と統計の世界への
イントロダクションです。

ご案内するのは、デタラメ研究所所員のアールくん。
アールくんに導かれ、大冒険するのは
サイコロをふって「1」が3回連続してでただけで
「奇跡だ!」と言ってしまうエヌくんです。

さて、どんな旅になるのか、本誌でごらんください!















2018年5月15日火曜日

『10才のころ、ぼくは考えた。』

たくさんのふしぎ2018年6月号は『10才のころ、ぼくは考えた。』です。


いまから7年前、『月へ行きたい』という本を刊行したとき、
感想を書いて送ってくれた10才の男の子がいました。
感想につづけて、
「最近、どうして人間は生きているのか、宇宙のはては? 
世界はどうしてあるのか? 死んだらどうなるのか? 
ということを考えて眠れなくなります。
こういったことを考えているとわかると変だと思われるので
だれにもいいませんけど」
というメッセージが記されていました。

「たくさんのふしぎ」を担当していると、
自然科学系の研究者や在野で探求をつづける方々とお話をする機会が多くなります。
そういった方々は、たとえばある虫や動物を追い、
どうして彼らがそういう行動をとるのか? また、どうやってある物質はできるのか? という問いをたて、探求していきます。

ところが、そういう探求の仕方では、手が届かない問いもでてきます。
それが、7年前にお手紙をくれた少年が届けてくれた、
なぜ私は生きているのか? という問いなのではないかと思います。

それにこたえようとするのが「哲学」という学問で、
この本は、32才の若き哲学者下西風澄さんが少年時代に
考えていたことを回想録としてかたちにしたものです。

下西さんが子どものころ作っていた石のネズミ

こういうことを考えている子どもは、
皆ではないのかもしれないのではないかと思いますが、
どこかにいるそんなちいさな哲学者たちに考える手立てのひとつの例を届けたい、
またささやかななぐさめ、もしくはエールになったらと本づくりにあたりました。

どうぞご覧ください。

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楽天ブックスhttp://books.rakuten.co.jp/rb/15447655/
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2018年4月10日火曜日

『海中を飛ぶ鳥 海鳥たちのくらし』

たくさんのふしぎ2018年5月号は『海中を飛ぶ鳥 海鳥たちのくらし』です。


作者の寺沢孝毅さんは、
北海道の天売島で小学校の先生をしながら、
そこで繁殖する海鳥たちの観察や保護活動を続け、
その後世界じゅうの海鳥たちを撮影するようになった写真家です。



その寺沢さんに、
「海鳥とはどんな生きものなのか描いてみませんか」と
お願いしてできたのが今月号です。

おなじみのカモメやペンギンから、天売島に繁殖するウトウ、


南極と北極周辺を片道12000キロメートルも移動するハシボソミズナギドリ、

羽ばたきをせずに数時間飛ぶことができるニュージーランドアホウドリなど、


様々な海鳥が、空、海、陸でどのように過ごしているのか、
鮮やかに写し出されています。


海鳥はその名の通り海でくらすようになった鳥たちなので、
陸上で動くのは苦手で歩き方もぎこちなく
(ペンギンがよちより歩きなのもそのせいなのですね)、
肉食動物などの天敵にも狙われやすいのです。

だから海でだけ生きていければいいのですが、
どうしても陸に上がらなければならないときがあります。
それは、卵をかえしてヒナを育てるとき。

海鳥たちはさまざまな工夫をこらして、
危険な陸上での子育てを乗り切っています。

そんな子育て奮闘記をお楽しみください。




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2018年3月13日火曜日

『森の舞台うら』


あたりまえのようにあるもののなかに、
驚くような仕組みが隠されていることがあります。
「森の土」がそうです。
たくさんのふしぎ4月号『森の舞台うら』(松浦陽次郎 文/山村浩二 絵)では、
森の土と樹木の間にある、複雑な仕組みをわかりやすく紹介します。


 
本作を担当するまで、
実は担当者も森の土について知らないことばかりでした。
たとえば、木が養分を吸収することのできる土は、
どれくらいの深さまであるでしょうか?
場所にもよりますが、その深さはせいぜい20センチほど。
スコップですこし掘れば出てくるぐらいの範囲です。
もっと深くまであると思っていたのに・・・・・・
 

 
しかも、落ち葉を、動物たちと菌類がすこしずつ分解して、
動物のフンと砂や粘土などの鉱物と菌類の糸があわさって、
この薄い土の層ができるまでには、数十年以上かかるというのです。
なんと気の遠くなるような・・・・・・
 

 
文を担当した松浦陽次郎さんは、パプアニューギニアなどの熱帯から、アラスカなどの北極圏まで、
世界各地の森林と土壌を研究されています。
打合せで、こうおっしゃっていたことがあります。

「土壌を研究すればするほど、それがどれほどよくできたシステムかがわかるんです。
人間には絶対に作りだせないほど、繊細で精巧なものなんです」

ひとつの例として、メソポタミア文明のあった地域は今では砂漠地帯ですが、
文明が栄えていたころには、森林が広がっていたそうです。
しかし、人間が燃料にするために木をかりつくし、土壌がだめになり、
食料の生産もできなくなり、文明が崩壊してしまったのだとか。
たしかにあの地域の森林は数千年経った今でも戻ってきていません。



担当者は子どもの頃から、
土のなかの養分や水分を吸収するのは、木の根だけだと思っていました。
しかし、実は木の根と菌類は共生していて、
菌が根の入りこめないすきまに菌糸をのばし、
根よりも広い範囲から水や養分をはこんで、根に受けわたしているというのです。
カラスノエンドウの根が菌と共生しているというのは知っていましたが、
森の木のほとんど菌類と共生しているなんて、
世の中まだまだ知らないことばかりだと思い知らされます。
 

 
そんな森の裏側にできている精巧なシステムを
とてもわかりやすく描いたのが『森の舞台うら』です。
 
絵は、『くだものだもの』などの多数の絵本を執筆されてきた山村浩二さんが、
実際の森を取材して、実物から離れてしまわない絶妙なところで、擬人化して描かれています。
たとえば、24ページ。
葉が枝から離れたあとに残る「葉痕」までしっかり描かれています。
この葉痕はコナラのものです。
親しみやすい表現の絵ですが、細部にまで心をくばり、
科学的な事実もしっかりおさえてあるのです。
 

 
そろそろ芽吹きがはじまります。
森が1年でもっとも美しい季節。(だと担当者は思っています)
ぜひ『森の舞台うら』を読んで、森に出かけてみてくださいね。
森の見え方が変わっているはずです。
 
(K)
 
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