2020年12月10日木曜日

たくさんのふしぎ1月号『うれし たのし 江戸文様』

たくさんのふしぎ1月号は『うれし たのし 江戸文様』(熊谷博人 文・絵)です。



 

今、社会現象になっている漫画がありますが、ヒロインの少女が着ているピンク色の着物に、どんな柄が入っているかおぼえていますか? それは「麻の葉文様」。植物の麻の成長の早さに重ねて、成長を願い子どもの着物によく使われた文様です。

 



 

主人公の着ている羽織は、「市松文様」。江戸時代に人気を博した歌舞伎役者、佐野市松が好んだ文様です。市松文様は、東京オリンピックのエンブレムのモチーフにもなっています。

 



 

そんなふうに現代に受け継がされてきる文様の多くが生まれたのは江戸時代です。江戸の町人たちのくらしの中から文様は作りだされました。本作では江戸時代の町人の1年のくらしを描きながら、文様がどのように生み出されのか、そして、文様にこめられた意味を紹介しています。

なかにはこんなおかしな文様もあります。

 





 

本作の著者、熊谷博人さんの本職はブックデザイナー。司馬遼太郎の『街道を行く』(全43巻)や『正倉院宝物』(全3巻)など、豪華で美しい装丁を数多く手がけてこられました。デザインの素材や参考にするため、文様を染めるのに使った型紙や、反物の見本帳を集められてきたそうです。江戸時代の資料も丹念に調べれられるようになり、江戸文様に関する大人向けの本を多数出版されています。

熊谷さんの絵は、はじめて絵本を描かれた方とは思えないほど、生き生きとして、あたたかみにあふれています。また、江戸の街の絵は、浮世絵などの資料を元にし、東京都江戸東京博物館の学芸員さんにチェックをして頂き、当時の風物をできるかぎり正確に再現しています。

 

 


 

年末からお正月は、テレビや広告などで和のデザインとして文様を目にすることが多くなる季節です。それに今は子どもにも大人にも、なにげなく見ている文様の奥深さを楽しんで頂ければと考えています。



 

今月号には、「たくさんのふしぎ」オリジナル文様のふろく一枚絵がついています。折り紙にしたり、ブックカバーにしたり、ポチ袋を作ったり、何かに使って頂ければうれしいです。

 

(K)

 

 

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