2019年11月14日木曜日

たくさんのふしぎ12月号『地球の中に、潜っていくと…』

みなさんは、足もと、すなわち地球の中になにがあるか、考えてみたことがありますか?
多くの人は、マグマがふつふつと煮えていたり、暗くて地獄のような光景を思い浮かべるのではないでしょうか。

そんな地球の中を、もしも旅できたら…というお話が、12月号『地球の中に、潜っていくと…』です。






地球の中は超高温・超高圧力の世界です。
そこを旅するには、たかい圧力に耐えられる、大変に頑丈な乗り物が必要です。
この作品に登場する科学者のおじいちゃんは、世界でいちばんかたい物質「ダイヤモンド」を使って、世界一じょうぶな乗り物を作り出しました。


ダイヤモンド製の「ダイヤモンド号」


これに乗りこみ、地球の内部へとずんずんと潜っていきます。
表層部の地殻を突き抜け、マントルへ達すると、こんな世界があらわれました…!

地下150km付近のようす


ここは地下150㎞付近。東京~軽井沢ぐらいの距離を潜ったところです。
そんなところに、緑色に輝くきらびやかな世界があるというのです。

緑色の正体は、「かんらん石」、別名「ペリドット」とよばれる宝石です。
アクセサリーなどで見たことがある人もいるでしょう。

かんらん石(ペリドット)


さらに上の絵をよ~く見ると、赤い石がまざっていますね。これは「ガーネット」です。
また、このあたりには「ダイヤモンド」も多くあるとか……。宝石だらけですね。

地球の半径は、約6400kmもあります。さらにさらに深くへ進むと、どんな光景が待っているのか。そして、地球の中心には何があるのか。ぜひ本書を読んでみてください!


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2019年10月10日木曜日

たくさんのふしぎ11月号『馬と生きる』


たくさんのふしぎ11月号は『馬と生きる』(澄川嘉彦 文/五十嵐大介 絵)です。


 
「遠野物語の後ろ姿を見ているようだ」。それが取材をしていて特に心に残ったことでした。遠野物語には馬が出てくるお話がたくさん採話されています。本作の主人公、70才を越える見方芳勝さんは子どもの頃から馬に親しみ、「地駄引き」とよばれる昔ながらの方法で、馬といっしょに山での仕事を続けてきました。取材を始めた時に、こうした馬とのくらしをしているのは、岩手県遠野市では見方さんだけでした。
 

 
 見方さんの馬との接し方は独特です。仕事をしているときは、馬をどなり、時にはなぐることもあります。一方、現場を離れると、馬と一つ屋根の下でくらし、好物の植物をたっぷり食べさせてやったり、川で体を優しく洗ってやったりします。


 
50年間、馬との仕事を続けてきて、飼った馬は50頭。どの馬にも名前をつけたことがないそうです。こうした馬との接し方は、一般的なペットや家畜と人との関係とは明らかに違うものです。見方さんのような馬とのくらしは、遠野では数百年以上受け継がれ、数十年ほど前まで普通にあったものなのだろうと思います。見方さんが持っている馬に対する感情を一言で表現することはできません。しかし、見方さんと馬とのくらしのひとつひとつを丁寧に描くことで、現代の子どもたちにとって新鮮な驚きがあるはずと信じ、本作を企画しました。
 

 
 文を担当している澄川嘉彦さんは岩手県花巻市在住です。もともとNHKに勤務し、今はドキュメンタリーなどの映像作家として活動されています。NHKの番組で取材をしたのが、見方さんとの出会いでした。その後数年間にわたり取材を続け、本作にまとめてくださいました。
 絵を担当しているのは、漫画家の五十嵐大介さんです。五十嵐さんは、岩手県の農村に住み、自給自足の生活をされていたことがあります。その様子は『リトルフォレスト』(講談社)にまとめられています。岩手での生活をされたことがある方だからこそ、本作のための取材を重ねるなかで、見方さんの感じ方に共感し、そのくらしぶりや遠野の自然、そして力強い馬の姿を生き生きと描き出して頂くことができました。
 本作のデザインをされている名久井直子さんも岩手県の出身です。(担当者は西日本出身ですが、これまで岩手県を舞台にした絵本を4冊担当しておりまして、岩手が好きです。)岩手県に関係する3人が力を合わせて、『馬と生きる』を作りあげてくださいました。

左から、澄川嘉彦さん、見方芳勝さん、五十嵐大介さん

 
K

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2019年9月10日火曜日

たくさんのふしぎ10月号『9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく』

日本の動物園でもおなじみのワオキツネザル。彼らの故郷はインド洋にうかぶ島国、マダガスカルです。日本で見られる「キツネザル」の種類は限られていますが、マダガスカルにはなんと100種を超すキツネザルが住んでいます。
 
  

本作で大きくご紹介するのは、「シファカ」というキツネザルの仲間です。マダガスカルの熱帯雨林、高地の森、乾燥した森や、石灰岩の針山など9つの森を、シファカを中心にサルたちを探しながらめぐります。
 


文を担当した島泰三さんは30年以上、マダガスカルのサルを調べてこられました。シファカ9種は、マダガスカルに各地に離れて生息しています。この9つのシファカを見るには、交通事情の悪いマダガスカルの奥地に入らなければなりません。しかも行けば必ず見られるものでもありません。そうして観察を続けてきたシファカと彼らのすむ森、そこにいる他のサルたちを、子どもたちにぜひとも紹介したいとの思いから、本作を執筆されました。ですから、本文はサルと森の紹介に留まらず、島さんがそれぞれの森を案内するような文章になっています。


 
絵を担当したサイエンスイラストレーターの菊谷詩子さんは、本作のためにマダガスカルを訪れ、シファカたちを取材されました。そして、森の植生や空気、サルの表情、毛並み、仕草、どれをとっても研究者の島さんが驚かれるほどの精度の絵を仕上げてくださっています。たとえばこのベローシファカの絵。この毛並みの美しい表現と躍動感は現地での取材のたまものです。
 

 
キツネザルたちの絵だけではなくマダガスカルの自然の美しさを表現するため、
絵の飾り枠にまでこだわりがつまっています。文様のように描かれているのは、すべてその森の動植物です。写真中央上に描かれているのはマダガスカル固有の肉食動物フォッサです。ネコ科の動物のように見えますが、フォッサはマングースの仲間です。


 
担当者が好きなキツネザルはジェントルキツネザルです。ハイイロジェントルキツネザルは上野動物園でも見ることができます。このサルは、猛毒の青酸が含まれている竹の子を好んで食べます。しかし、彼らがどうして毒を食べても大丈夫なのか、その謎はまだ解明されていないそうです。
 


シファカ9種とキツネザルについて、フルイラストレーションでまとめられた絵本は、世界でこの作品だけです。動物園で出会うキツネザルたちの故郷がどんなところか、思いを馳せながら読んで頂ければ幸いです。

(K)
 
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2019年7月31日水曜日

たくさんのふしぎ9月号『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』

 9月号は『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』(木原育子 文/沢野ひとし 絵)。


 作者の木原育子さんは、現役の新聞記者です。2014年に中日新聞(東京新聞)で掲載された、「さまよう日章旗」という連載記事の取材班の一人でした。

https://www.chunichi.co.jp/hold/feature/wandering_flag/list/CK2014081502000066.html

 今回の絵本は、その記事が基となっています。太平洋戦争で戦った日本兵の日章旗がアメリカで発見され、その持ち主を、木原さんたち記者が探し歩く様子を描きます。

 主人公の一郎くんは、出征前は静岡市の郵便局で働いていました。


 一郎くんを知る人たちに取材し、誰からも好かれる好青年だったことがわかってきます。木原さんはその一郎くんの写真を探しますが、静岡が空襲で焼け野原となったためか、写真はどこにも残されていません。
 あきらめかけた木原さんでしたが……



 息子を待つ母、弟のために日章旗に寄せ書きを集める姉、そしてそれらの事実を見つけだしていく記者。
 さまざま人たちの思いがつまった絵本です。

一郎くんたちが遊んでいた神社


 新聞記事や絵本にも書ききれなかった、一郎くんと残された人々についてのことを、福音館書店公式Webマガジン「ふくふく本棚」で紹介しています。よろしければご一読ください。(I)


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2019年7月12日金曜日

たくさんのふしぎ8月号『クジラの家族』

たくさんのふしぎ2019年8月号は『クジラの家族』(水口博也 文・写真)です。



クジラたちは、海の中で歌うように声を出し、家族で会話をしています。
海の中では音は地上よりも速く伝わり、また、声が届く距離も、大型のクジラでは数百キロに及ぶと言われています。

クジラの家族の会話は、その内容も高度なもの。親から子へ、狩りの方法などを代々、伝えてきました。

私たち人類は、世界的な通信網を発達させましたが、それもたかだかここ100年ほどのこと。海の中では、人類の有史以前から、クジラたちが通信社会を営んできたのです。


そんな話を写真家の水口さんからお聞きして、クジラたちの賢さを、「家族のきずな」をキーワードにして描いてもらったのが、この写真絵本。


最後に登場する真っ白いマッコウクジラの子どもが、水口さんをベビーシッターに選ぶ場面は、ことに愉快です。
マッコウクジラの赤ちゃんです
シロナガスクジラの潮ふき!

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