2020年1月9日木曜日

たくさんのふしぎ2020年2月号『極夜の探検』

 北極には、冬になると一日中太陽が昇らない極夜とよばれる現象があります。雪と氷と月と星、そして闇しかない極夜の世界をひとりで旅して、長い暗闇の果てにのぼる太陽を見たら、人はいったい何を感じるのか? 探検家の角幡唯介さんがグリーンランドで行った命がけの探検がドキュメント絵本になりました。
 

角幡さんが極夜の探検をされたのは、201612月~20172月のことです。しかし、この探検にむけた準備は2012年冬からはじまっていました。『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊がみた北極』(集英社)の元になったカナダでの極地放浪。『極夜行前』(文藝春秋)に書かれている、現地調査や、食料、物資を備蓄するために何度もおこなったグリーンランドへの旅。4年かけ、角幡さんの探検家としての最高到達点を目指しておこなったのが、この極夜の探検でした。


 
極夜の探検は、ノンフィクションであると同時に、物語としても心に深く残るものがあると感じています。日常から暗闇の異世界に旅立ち、人間の力を超えるものに立ち向かい、最後に何かを得て帰還するという、この探検の構造そのものが何か普遍なものを秘めているのではないかと。古今東西の物語のなかでも、地下世界、洞窟、クジラのお腹の中など、太陽の光の届かない場所は、英雄たちの冒険の舞台として登場します。闇を超えて、光を見る、そして何かを得る、もしかしたらそこに人が求める物語の原始的なかたちが隠されているのかもしれません。40ページという制約のある絵本では、極夜の探検に秘められた物語の骨格が鮮明に現れているのではないかと感じます。テキストの言葉ひとつひとつは子ども向けにはすこし難しいと感じられるところもあるかもしれません。しかし、シンプルで力強い物語になっているからこそ、言葉の難しさを超えて、『極夜の探検』は子どもに楽しんでもらえる作品になっていると担当者は考えています。


 
探検前、角幡さんに写真絵本ができればというお願いをしていました。しかし、グリーンランドから戻られた角幡さんより「写真はほとんど撮ることができませんでした」との連絡がありました。この壮絶な探検で、絵本のために写真を撮る余裕があるはずもありません。そこで、テキストに書かれたことを最もよく表現して頂ける方にと、絵の執筆を山村浩二さんにお願いすることにしました。テキストの構成が固まったのは、ちょうど『極夜行』(文藝春秋)が出版されたのと同じ頃、2018年冬のことです。それから2年ほどかけて、絵と文章の検討を重ねました。絵を担当した山村浩二さんは、角幡さんから頂いた写真、動画を元にラフスケッチを作り、何度もフィードバックをもらい、さらに角幡さん、山村さんと担当者での打合せを行いながら、角幡さんだけが見た極夜の世界の絵を制作してゆきました。写実的なだけの絵ではなく、角幡さんがその時々で感じた空気感や月明りの色、闇の濃さ、各場面での不安や恐怖、喜びといった心理状態を、山村さんがイマジネーションを膨らませて描かれたのが本作の絵です。大半は容赦なく暗い場面が続きます。見やすさやわかりやすさを放棄してでも、角幡さんが探検した闇の世界を、読者ができるだけ追体験し、最後の場面で姿を現す太陽のまばゆさを感じてもらえるように、暗闇の絵は描かれています。


(K)

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全国の書店さんでお買い求めいただけます(お取り寄せとなる場合もあります)
『極夜の探検』は、角幡さんの出身地の北海道をはじめ、特別にたくさん置いてくださっているお店があります。下記のリストにあるお店でしたら、確実に手にとってご覧頂けます。目印は、表紙写真の右側に写っている黒いサイン色紙です。近くにお住まいの皆さま、是非お立ち寄りください!
ウェブ書店さんでもご購入いただけます。
楽天ブックスhttps://books.rakuten.co.jp/rb/16153162/
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***『極夜の探検』をたくさん置いてくださっている書店様***
◎北海道◎
紀伊國屋書店札幌本店
コーチャンフォー旭川店
コーチャンフォー美しが丘店
コーチャンフォー新川通り店
コーチャンフォー北見店
コーチャンフォーミュンヘン大橋店
コーチャンフォー釧路店
三省堂書店札幌店
ジュンク堂書店旭川店

◎千葉県◎
紀伊國屋書店流山おおたかの森店

◎東京都◎
紀伊國屋書店新宿本店
紀伊國屋書店玉川高島屋店
三省堂書店池袋本店
三省堂書店新横浜店
三省堂書店有楽町店
ジュンク堂書店池袋本店
ジュンク堂書店立川高島屋店
丸善丸の内本店

◎神奈川県◎
紀伊國屋書店横浜店

◎京都府◎
ジュンク堂書店京都店

◎大阪府◎
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紀伊國屋書店天王寺ミオ店
ジュンク堂書店上本町店

◎愛媛県◎
ジュンク堂書店松山店

◎沖縄県◎
ジュンク堂書店那覇店

2019年12月12日木曜日

たくさんのふしぎ1月号『南米アマゾン 土を食う動物たち』

たくさんのふしぎ2020年1月号は『南米アマゾン 土を食う動物たち』(山口大志 文・写真)です。


山口大志さんは高校卒業後、石垣島や西表島に移住してイノシシなどの野生動物の狩りを学びました。その経験から、野生動物が通る獣道を見つけるのは得意なのだそうです。

熱帯雨林の獣道は地面の上だけでなく、人間の頭の上、つる植物や高い木々の間にもあるそうです。例えばサルたちは、決まって同じルートでコルパと呼ばれる塩場にやってきては、土を食べて帰っていきます。



小さな頃から動物が好きで、常に観察を続ける山口さんの写真は驚くほど生々しく、迫真的です。美しく、迫力ある動物の姿を多くの人に見ていただけたらと思います。

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2019年11月14日木曜日

たくさんのふしぎ12月号『地球の中に、潜っていくと…』

みなさんは、足もと、すなわち地球の中になにがあるか、考えてみたことがありますか?
多くの人は、マグマがふつふつと煮えていたり、暗くて地獄のような光景を思い浮かべるのではないでしょうか。

そんな地球の中を、もしも旅できたら…というお話が、12月号『地球の中に、潜っていくと…』です。






地球の中は超高温・超高圧力の世界です。
そこを旅するには、たかい圧力に耐えられる、大変に頑丈な乗り物が必要です。
この作品に登場する科学者のおじいちゃんは、世界でいちばんかたい物質「ダイヤモンド」を使って、世界一じょうぶな乗り物を作り出しました。


ダイヤモンド製の「ダイヤモンド号」


これに乗りこみ、地球の内部へとずんずんと潜っていきます。
表層部の地殻を突き抜け、マントルへ達すると、こんな世界があらわれました…!

地下150km付近のようす


ここは地下150㎞付近。東京~軽井沢ぐらいの距離を潜ったところです。
そんなところに、緑色に輝くきらびやかな世界があるというのです。

緑色の正体は、「かんらん石」、別名「ペリドット」とよばれる宝石です。
アクセサリーなどで見たことがある人もいるでしょう。

かんらん石(ペリドット)


さらに上の絵をよ~く見ると、赤い石がまざっていますね。これは「ガーネット」です。
また、このあたりには「ダイヤモンド」も多くあるとか……。宝石だらけですね。

地球の半径は、約6400kmもあります。さらにさらに深くへ進むと、どんな光景が待っているのか。そして、地球の中心には何があるのか。ぜひ本書を読んでみてください!


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2019年10月10日木曜日

たくさんのふしぎ11月号『馬と生きる』


たくさんのふしぎ11月号は『馬と生きる』(澄川嘉彦 文/五十嵐大介 絵)です。


 
「遠野物語の後ろ姿を見ているようだ」。それが取材をしていて特に心に残ったことでした。遠野物語には馬が出てくるお話がたくさん採話されています。本作の主人公、70才を越える見方芳勝さんは子どもの頃から馬に親しみ、「地駄引き」とよばれる昔ながらの方法で、馬といっしょに山での仕事を続けてきました。取材を始めた時に、こうした馬とのくらしをしているのは、岩手県遠野市では見方さんだけでした。
 

 
 見方さんの馬との接し方は独特です。仕事をしているときは、馬をどなり、時にはなぐることもあります。一方、現場を離れると、馬と一つ屋根の下でくらし、好物の植物をたっぷり食べさせてやったり、川で体を優しく洗ってやったりします。


 
50年間、馬との仕事を続けてきて、飼った馬は50頭。どの馬にも名前をつけたことがないそうです。こうした馬との接し方は、一般的なペットや家畜と人との関係とは明らかに違うものです。見方さんのような馬とのくらしは、遠野では数百年以上受け継がれ、数十年ほど前まで普通にあったものなのだろうと思います。見方さんが持っている馬に対する感情を一言で表現することはできません。しかし、見方さんと馬とのくらしのひとつひとつを丁寧に描くことで、現代の子どもたちにとって新鮮な驚きがあるはずと信じ、本作を企画しました。
 

 
 文を担当している澄川嘉彦さんは岩手県花巻市在住です。もともとNHKに勤務し、今はドキュメンタリーなどの映像作家として活動されています。NHKの番組で取材をしたのが、見方さんとの出会いでした。その後数年間にわたり取材を続け、本作にまとめてくださいました。
 絵を担当しているのは、漫画家の五十嵐大介さんです。五十嵐さんは、岩手県の農村に住み、自給自足の生活をされていたことがあります。その様子は『リトルフォレスト』(講談社)にまとめられています。岩手での生活をされたことがある方だからこそ、本作のための取材を重ねるなかで、見方さんの感じ方に共感し、そのくらしぶりや遠野の自然、そして力強い馬の姿を生き生きと描き出して頂くことができました。
 本作のデザインをされている名久井直子さんも岩手県の出身です。(担当者は西日本出身ですが、これまで岩手県を舞台にした絵本を4冊担当しておりまして、岩手が好きです。)岩手県に関係する3人が力を合わせて、『馬と生きる』を作りあげてくださいました。

左から、澄川嘉彦さん、見方芳勝さん、五十嵐大介さん

 
K

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2019年9月10日火曜日

たくさんのふしぎ10月号『9つの森とシファカたち マダガスカルのサルに会いにいく』

日本の動物園でもおなじみのワオキツネザル。彼らの故郷はインド洋にうかぶ島国、マダガスカルです。日本で見られる「キツネザル」の種類は限られていますが、マダガスカルにはなんと100種を超すキツネザルが住んでいます。
 
  

本作で大きくご紹介するのは、「シファカ」というキツネザルの仲間です。マダガスカルの熱帯雨林、高地の森、乾燥した森や、石灰岩の針山など9つの森を、シファカを中心にサルたちを探しながらめぐります。
 


文を担当した島泰三さんは30年以上、マダガスカルのサルを調べてこられました。シファカ9種は、マダガスカルに各地に離れて生息しています。この9つのシファカを見るには、交通事情の悪いマダガスカルの奥地に入らなければなりません。しかも行けば必ず見られるものでもありません。そうして観察を続けてきたシファカと彼らのすむ森、そこにいる他のサルたちを、子どもたちにぜひとも紹介したいとの思いから、本作を執筆されました。ですから、本文はサルと森の紹介に留まらず、島さんがそれぞれの森を案内するような文章になっています。


 
絵を担当したサイエンスイラストレーターの菊谷詩子さんは、本作のためにマダガスカルを訪れ、シファカたちを取材されました。そして、森の植生や空気、サルの表情、毛並み、仕草、どれをとっても研究者の島さんが驚かれるほどの精度の絵を仕上げてくださっています。たとえばこのベローシファカの絵。この毛並みの美しい表現と躍動感は現地での取材のたまものです。
 

 
キツネザルたちの絵だけではなくマダガスカルの自然の美しさを表現するため、
絵の飾り枠にまでこだわりがつまっています。文様のように描かれているのは、すべてその森の動植物です。写真中央上に描かれているのはマダガスカル固有の肉食動物フォッサです。ネコ科の動物のように見えますが、フォッサはマングースの仲間です。


 
担当者が好きなキツネザルはジェントルキツネザルです。ハイイロジェントルキツネザルは上野動物園でも見ることができます。このサルは、猛毒の青酸が含まれている竹の子を好んで食べます。しかし、彼らがどうして毒を食べても大丈夫なのか、その謎はまだ解明されていないそうです。
 


シファカ9種とキツネザルについて、フルイラストレーションでまとめられた絵本は、世界でこの作品だけです。動物園で出会うキツネザルたちの故郷がどんなところか、思いを馳せながら読んで頂ければ幸いです。

(K)
 
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