角幡さんが極夜の探検をされたのは、2016年12月~2017年2月のことです。しかし、この探検にむけた準備は2012年冬からはじまっていました。『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊がみた北極』(集英社)の元になったカナダでの極地放浪。『極夜行前』(文藝春秋)に書かれている、現地調査や、食料、物資を備蓄するために何度もおこなったグリーンランドへの旅。4年かけ、角幡さんの探検家としての最高到達点を目指しておこなったのが、この極夜の探検でした。
極夜の探検は、ノンフィクションであると同時に、物語としても心に深く残るものがあると感じています。日常から暗闇の異世界に旅立ち、人間の力を超えるものに立ち向かい、最後に何かを得て帰還するという、この探検の構造そのものが何か普遍なものを秘めているのではないかと。古今東西の物語のなかでも、地下世界、洞窟、クジラのお腹の中など、太陽の光の届かない場所は、英雄たちの冒険の舞台として登場します。闇を超えて、光を見る、そして何かを得る、もしかしたらそこに人が求める物語の原始的なかたちが隠されているのかもしれません。40ページという制約のある絵本では、極夜の探検に秘められた物語の骨格が鮮明に現れているのではないかと感じます。テキストの言葉ひとつひとつは子ども向けにはすこし難しいと感じられるところもあるかもしれません。しかし、シンプルで力強い物語になっているからこそ、言葉の難しさを超えて、『極夜の探検』は子どもに楽しんでもらえる作品になっていると担当者は考えています。
探検前、角幡さんに写真絵本ができればというお願いをしていました。しかし、グリーンランドから戻られた角幡さんより「写真はほとんど撮ることができませんでした」との連絡がありました。この壮絶な探検で、絵本のために写真を撮る余裕があるはずもありません。そこで、テキストに書かれたことを最もよく表現して頂ける方にと、絵の執筆を山村浩二さんにお願いすることにしました。テキストの構成が固まったのは、ちょうど『極夜行』(文藝春秋)が出版されたのと同じ頃、2018年冬のことです。それから2年ほどかけて、絵と文章の検討を重ねました。絵を担当した山村浩二さんは、角幡さんから頂いた写真、動画を元にラフスケッチを作り、何度もフィードバックをもらい、さらに角幡さん、山村さんと担当者での打合せを行いながら、角幡さんだけが見た極夜の世界の絵を制作してゆきました。写実的なだけの絵ではなく、角幡さんがその時々で感じた空気感や月明りの色、闇の濃さ、各場面での不安や恐怖、喜びといった心理状態を、山村さんがイマジネーションを膨らませて描かれたのが本作の絵です。大半は容赦なく暗い場面が続きます。見やすさやわかりやすさを放棄してでも、角幡さんが探検した闇の世界を、読者ができるだけ追体験し、最後の場面で姿を現す太陽のまばゆさを感じてもらえるように、暗闇の絵は描かれています。
(K)
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①全国の書店さんでお買い求めいただけます(お取り寄せとなる場合もあります)
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『極夜の探検』は、角幡さんの出身地の北海道をはじめ、特別にたくさん置いてくださっているお店があります。下記のリストにあるお店でしたら、確実に手にとってご覧頂けます。目印は、表紙写真の右側に写っている黒いサイン色紙です。近くにお住まいの皆さま、是非お立ち寄りください!
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楽天ブックスhttps://books.rakuten.co.jp/rb/16153162/
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◎東京都◎
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