たくさんのふしぎ11月号は、
『わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話』です。
(鈴木海花 文 はたこうしろう 絵)
(鈴木海花 文 はたこうしろう 絵)
本作のファクトチェックをお願いした伊丹市昆虫館の学芸員、長島聖大さんが、
兵庫県の高校で、カメムシのイメージを調査したことがあります。
「好きか嫌いか」の問いに、「嫌い」が73%、「どちらでもない」が、26%、
好きはたったの1%・・・だったそうです。
これほど嫌われ者のカメムシが「宝もの」になるという奇跡のようなことが、
岩手県葛巻町にある江刈小学校で起こりました。
はじめ、ここの子どもたちや先生たちにとっても、
カメムシはやっかいもの以外の何ものでもありませんでした。
しかし、「カメムシにはいろんな種類がいるようです。
私も知らないのでみんなでいっしょにしらべてみませんか?」
というある日の朝礼での校長の言葉をきっかけに、
小学校をあげて近所でのカメムシ探しがはじまります。
ただ嫌なものだと思っていたカメムシが、
色、模様、形などバラエティーにとんだ生きものであることに気づいてゆきます。
そして、江刈小学校の児童たちが見つけた35種のカメムシを載せた
「カメムシずかん」が完成しました。
学校のみんなの熱意は、カメムシの研究者も動かします。
研究者たちは小学校を訪れ、
翌年には子どもたちといっしょにすることになりました。
本のなかでは描かれていませんが、
翌年の合同調査で、100種のカメムシが同定され、
調査結果は正式な論文として発表されました。
私たちの足下には「宝もの」たちが生きているということ、
そして、よく調べよく知れば、「宝もの」をだれでも見つけられるということを、
本作をとおして感じて頂ければと思います。
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