海の水しかないように見えるところにも、実はたくさんの生きものがいます。プランクトンと呼ばれる、ただよって暮らす生きものたちです。体が透明だったり、変わった形をしていたりと、その姿はまるで宇宙からやってきた未知の生命体のようにユニークです。
この本の舞台は山口県青海島の海です。著者の吉野雄輔さんは、八年ほど前から青海島に通いはじめ、合計一年ほど滞在して撮影しました。
数ミリの大きさのものが多いプランクトンを水中で撮影するのは非常に難しく、肉眼でも見失うことが多いそうです。今回は小さいサイズの生きものたちも、限界以上に拡大して掲載しています。
プランクトンは一般に小さい生きものというイメージが強いですが、体の大きさに関係なく、漂って生きるものたちを総称した呼び名です。
それぞれの種類の同定も難しく、個々の生物の生態の研究も途上にあります。何の幼生かわからないものも多いのです。
身を隠す場所のないところで漂う生きものは、敵から見つかりにくくなるような、さまざまな特徴を持っています。
海の中だからこそできる、「漂う」という生きかた、形のおもしろさを見ていただければと思います。
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