2015年5月25日月曜日

わたしが外人だったころ

先日、新しい「たくさんのふしぎ傑作集」が発売しました。
わたしが外人だったころ』。
哲学者・鶴見俊輔さんと、イラストレーターの佐々木マキさんによる作品です。

 
 
鶴見さんは16才のとき、ひとりアメリカへ渡りました。
現地の大学に在学中、太平洋戦争がはじまります。
敵国人として留置場に入れられ、その後帰国しますが、
アメリカにいても日本にいても、自分を「外人」と感じ生きてきたと言います。
 


自分を外人と感じるのは、どんな気分なのでしょうか。
さびしい気分なのでしょうか。
 
鶴見さんは、その頼りない気分が、
今の自分のくらしを支える「力」になっていると言います。

 


私たちはふつう、どこかに属していますよね。属することによって、おおきな安心を得るものです。

一方で、そこの「外」側にいる人はどうでしょう。疎外感や、失望感を感じている人もいるのではないでしょうか。生きていく辛さや、しんどさに繋がってしまうこともあるかもしれません。

そんな外側を歩む人に、本書は静かに、しかし力強く、エールを送っているように感じるのです。
 
佐々木マキさんによる美しい絵が、ともすれば重くなりそうなテーマを、やわらかく包み込んでいます。子どもには少し難しい部分があるかもしれませんが、示唆あふれる味わい深い作品を、この機会にぜひ楽しんでいただきたいと思います。
 
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